2010.12.14 Tue 片思いとチョコレートは甘くほろ苦い【失恋ショコラティエ】

失恋ショコラティエ(3)水城せとな/小学館フラワーコミックスアルファ 2010/12/10発売
現在購読しているコミックスの中で、ベスト3に入るぐらい楽しみにしている作品です。
水城せとなさんの作品を初めて読んだのは、某実在青少年の二次創作物でしたが、
その頃から群を抜いて、圧倒的な世界観と構成力がありました。
程なく少女漫画家としてプロデビューされた時は、嬉しいような残念なような
複雑な気持ちになったものです。
水城さんの描く世界は、キレイ事がありません。
人の持つ煩悩、欲求、強欲さ、それらが赤裸々に描かれ、
でもそれだけではない愛嬌、愛おしさ、情が混在している。
そしてそのドロドロになりがちなテーマを、丁寧で繊細な絵柄が
中和しているように思えます。
正直絵については好き嫌いが別れるのではないかと思いますが。
主人公の爽太は、昔からイケメンを取っ換え引っ換えしてきた
天然小悪魔サエコさんに失恋し、彼女を振り向かせるために、
彼女が大好きなチョコレートのパティシエとなります。
ショコラティエとして成功しながら、今まで通りでは彼女に相手にされないと、
あれこれ駆け引きを行う爽太。
サエコさんは天然っぽい態度で、爽太を翻弄しますが、
こちらもいろいろな計算が見え隠れします。
爽太がそれほどの片思いをする相手サエコさんがどんな人かと思えば、
一般的な評価は、とても普通。
ただ人より恋愛の駆け引きに長けている女性で、爽太曰く「妖精さん」。
彼女みたいな人がまわりにいたら、女子の間で嫌われ者だと思います。
でも確実に、彼女のかけらっぽいものを持った人には、
誰もが会ったことがあるのではないでしょうか。
またそれを計算だと知りつつ、振り回され痛い思いをして、
他の女性と親密になることで癒しながら、やっぱりサエコさんを想い続ける爽太。
そんな爽太とサエコさんのリアリティが、人の恋愛をのぞき見してるような高揚感と、
なんとなく気持ちが分かる、という共感を呼ぶのだと思います。
有名チョコレート店の息子で爽太の家に同居しているオリヴィエや、
従業員の薫子さんの恋愛事情なども同時進行していて気になります。
気になるといえば随所に出てくる、ショコラティエの爽太が作り出すチョコレート。
ミントフレーバーのトリュフ、オレンジ風味のチョコレートムース、
カリカリキャラメル入りボンボンショコラなど、垂涎ものです。
読んでいるとものすごく美味しいチョコレートが食べたくなるので、
ダイエット中の方は心して読んで下さい。
- 関連記事
-
- 片思いとチョコレートは甘くほろ苦い【失恋ショコラティエ】 (2010/12/14)
- 等価交換で得られたもの【鋼の錬金術師】 (2010/12/07)
- 昼メロの様相を呈してきました【ガラスの仮面】 (2010/11/21)

Comments
- name
- comment